台湾鉄道・在来線特急(タロコ号)太魯閣号 10周年・・・日立製作所
台鉄が以前導入した韓国のロテムが生産したE1000型プッシュプル式電車は故障発生率が高く、また状況の改善にロテム側が非協力的である点が問題でした。このため、今回は韓国メーカーの入札資格を停止しました。
最終的には日立製作所が設計・製作したJR九州885系(ソニック)電車を原型としました。このようにしてTEMU1000型電車の導入となり、穏便な車両調達が可能となったのです。
2006年12月17日 到着 |
基隆港に陸揚げされる車両 |
台鉄(台湾鉄道)初の振り子式車両が基隆港西岸埠頭に到着したのは、2006年12月17日のこと。白地にオレンジと黒のシンプルな車体カラーで台湾各界の注目を浴びました。台鉄TEMU1000型車両はJR九州の885系車両をベースに日立製作所により誠心誠意を込め製造された車両。TEMU1000型車両は一般市民の投票により「タロコ号(太魯閣号)」と命名され、その優れた性能と非常に高いパフォーマンスは台鉄の技術陣にも高い評価を受けました。
2007年1月23日、当時の蘇貞昌行政院長(日本では内閣総理大臣の職にあたる)は花蓮で行われたタロコ号の引き渡し式典に出席し、台鉄の新時代到来に立ち会いました。同年2月の旧正月と4月の清明節には臨時列車として運行され、5月8日から正式運行が始まりました。この開業により台北と花蓮間の所要時間は2時間以下に短縮され、全席指定により旅のクオリティも大幅に向上しました。
運行開始から6年後の事故 |
車両修復のためのチームが結成され、2014年、日立製作所は新しいTED1010の車体と部品を提供、2015年初頭に修復を終え、再び台湾の線路に戻って来ました。また2014年末、台鉄は同時に2編成のタロコ号型車両を購入、2016年1月と2月、それぞれ台中港に到着しました。
基本情報
運用者 台湾鉄路管理局
製造所 日立製作所笠戸事業所
製造年 2006年 - 2016年
製造数 64両
運用開始 2007年5月8日
運用範囲 太魯閣列車
主要諸元
編成 8両編成(4M4T)
軌間 1,067 mm
電気方式 交流 25,000V 60Hz
(架空電車線方式)
最高運転速度 130 km/h (曲線通過+25km/h)
設計最高速度 150 km/h
起動加速度 2.2 km/h/s
全長 20,000 mm
2006年(民国95年)
・12月17日 - 1次車が台湾に到着。
・12月31日 - 第一回試運転が,樹林 - 花蓮間で行われる。
2007年(民国96年)
・1月23日 - 台鉄主催の引渡し式典が花蓮駅で挙行され、初めて報道関係に公開される。
・3月20日 - 台湾鉄路管理局の招待でメディア向けに試乗会が行われ、台北 - 花蓮間を1時間55分で走破する。
・5月8日 - 正式に営業運転開始し、東部幹線にて「太魯閣号」として運行。
・12月8日 - 2次車が基隆港に到着。
2008年(民国97年)3月1日 - 団体列車等での貸切が可能となり、企業や団体の旅行などで用いられるようになる(いわゆる「太魯閣団臨」)。
2012年(民国101年)1月17日 - 埔心駅南の幸福水泥踏切事故のため、TEMU1000型初廃車。
2014年(民国103年)7月 - 台東線・南廻線(台東-知本間)電化により知本駅まで運転開始。
2014年8月 - 埔心駅南の幸福水泥踏切事故で廃車となったTED1010号車の代替車が完成し、台中港へ陸揚げされる。[2]
2014年12月28日 - 台湾政府交通部により当形式及びTEMU2000型各2編成の追加発注と2015年末の投入が決定された。[3]
2015年(民国104年)3月25日 - 上記TED1010型を含む事故編成が営業運転に復帰。
2016年(民国105年)
・1月12日 - 3次車第1編成(TEMU1013+1014)が台中港で陸揚げされ、甲種回送される。[4]
・2月25日 - 3次車第2編成(TEMU1015+1016)が台中港で陸揚げされ、甲種回送される。[5]
・3月21日 - エバー航空・台湾サンリオとのコラボレーションで3次車第2編成がハローキティのラッピング仕様車となり特別列車として走行[6]。4月21日の改正以降にこの編成を含めた3次車が定期列車として運行されることとなった。
・4月21日 - ダイヤ改正で3次車を営業運転に正式投入