人生はドラマチック

一瞬の花火がその人の人生を左右する。花火が多いほど人生はドラマチックになる。結果の良し悪しは別として・・

認知症の母がデイサービスの日を間違えて【 見当識障害 】

f:id:oobinbo:20190303173657p:plain

はじめに

 母と言っても女房の母の事である。だから義母である。義母は現在85歳。嫁の実家は我が家から車で40分位の距離にあって、山々が背後にあり近所で犬猫の子が生まれてもすぐ広まるような片田舎にある。いまだに旧日本社会の余韻が残っている土地だ。


 義母は二年ほど前に脳の検査を受けたところ認知症の一つアルツハイマーと診断された。それまでにも変な行動、言動はあったが最近特に目立つようになって来た。更に足の膝の痛みも増しいう事が効かなくなり杖は手放せない。


 嫁の実家は、両親と娘二人の4人家族だった。遥か昔に、両親は娘を二人とも嫁がした。義母の夫は7年前に既に他界してしまっており、現在は義母一人で生活している。私の嫁は会社勤めをしており、そう簡単に仕事を抜けられない。定年までまだ年数があるので何とか母親一人で頑張ってほしいと言っている。

 

 嫁は長女であるため親を看なければならないのは世の常識である。民法にもきちんと書かれているので拒否はできない。こういう言い方をすると変に思われるかもしれないが、女房は母親を嫌っている。人間的にもあまり尊敬していない。自己中なところがあるらしい。

 

 足も悪いし頭も弱って来たのだから施設へ入ってくれるのが一番いいんだけれど、私も仕事があるんだからと愚痴をこぼすのです。私は嫁と結婚した時からこう言う日が来るだろうと予測していただけに、精神的には動揺はしていない。

 

 デイサービスの日は火曜日のみのプランである。毎日通う事は可能であるが本人がデイサービスをあまり好きでは無いらしく、今は周一回にしている。症状が重くなって来たら毎日通う予定にしており、最後はショートステイの連続で最後まで看てもらう。と女房は言っている。前置きが長くなってしまったので本題に入ります。

 

 

 ある日、朝寝して目が覚めるとデイサービスの日になっていた。

 義母は、朝ご飯を食べると眠くなる。人はお腹が起きると誰でもそうなりがちだ。デイサービスの前日の月曜日も同様であった。義母は朝寝に小一時間位、浸っていた。そしてふと目が覚めた義母は慌てだした。次の日になったと勘違いし火曜日のデイサービスの日だと断定してしまったのだ。


 デイサービスの送迎者はもう既に行ってしまったと思い込み、タクシーで追っかける事にした。その前に、慌てて服を着替なければならない。タクシーも呼ばなくてはいけない。頭の中で妖怪がグルグルと回っていた。何とか出掛ける準備は出来た。後はタクシーを待つだけだった。


 

タクシーに乗ったはいいが、施設の名前が出てこない

 しばらくするとタクシーが来た。義母はタクシーの運ちゃんに手を引かれ、杖を突きながら「よっこらしょっ!」と,やっとのことで乗ることが出来た。さあ出発だ。しばらく走ったところで運ちゃんが、「お婆ちゃん、どちらまで?」っと効いた。


 すると義母は、「え~と、いつもの所。」運ちゃんが「いつもの所って?」義母「いつもの所よ、いつもの所。」。義母は、デイサービスの車に乗っていた時の道を頭で辿るのだがそれはおぼろ気で、ハッキリ思い出せない。運ちゃんは「じゃあ、何て言うデイサービス?」

 

 義母は、デイサービスの名前も思い出せない。義母「あすこ左へ曲がって次、右よ・・・」 運ちゃん「デイサービスような施設は見当たらんよ~。」そこらへんをクルクル回るだけで結局デイサービスは見つからなかった。

 

 運ちゃんもこれでは商売にならなと思い引き返すことした。結局、義母はデイサービスの名前を思い出せなかったのだった。

 

 

帰宅した義母は、デイサービスへ電話した。「今日、お休みにします。」

 その時点でも義母は、デイサービスの日に間違いないと思っていたのでしょうが、施設のお姉さんに「○○さん、今日は違いますよ。デイサービスはあした火曜日ですよ。」っと言われてやっと納得したようだった。


 

 

年月日や曜日、時間、季節を間違える事が多くなるのは【 見当識障害 】

 脳が健全な人であればカレンダーや新聞やTVで日時の確認が出来るが、認知症になると確認行為そのものが出来なくなるようだ。

 

見当識障害

見当識障害は、今日が何月何日であるか、いま何時であるか、自分がいる場所はどこなのか、誰と話しているかなどがわからなくなる、すなわち自分が置かれている環境・状況を認識する能力が障害された状態をいう。
今日の日付などは、誰でも間違える場合があるが、何月であるという事がわからなくなる場合は、認識出来ていない可能性があり、症状が進むと、朝昼晩の区別や季節がわからないという状態にもなる。
さらに場所が認識しにくくなり、通いなれた場所や道であってもわからなくなり、迷子になってしまう。
              引用元:認知症フォーラムドットコム

 

 私の実母のことも過去に書いています。

oobinbo.hatenablog.com